~ちょっとマニアックな靴の話(2)~
修理編
今回はグッドイヤーウェルト製法と呼ばれる靴のオールソールについて書いていきたいと思います。
まずグッドイヤーウェルト製法とはアッパーと靴底を繋ぎ合わせる方法のひとつです。中底にテープを土手のように付けられたの「リブ」と「アッパー」、そして「ウェルト」を縫い合わせ、地面に接する「アウトソール」と「ウェルト」を縫い合わせます。アッパーと靴底を直接縫合せず、ウェルトを介してくっつけているのが特徴です。
この製法のメリット
1.複雑な縫合による耐久性
2.中底と靴底の間にコルクがたっぷりと敷き詰められているため、革靴を履いて歩くたびにコルクが沈み、持ち主の”足裏の形”に変形していき、快適な履き心地をうむ
3.オールソール等、修理がしやすい
では、オールソールについて解説したいと思います。
〜オールソールの手順〜
①既存の本底を剥がし、だし縫いの糸を抜き取る
②コルクを詰め直し、新しい靴底の貼り付け、ウェルト幅と同じように切り回す。
③靴底にだし縫いの糸が出るところに溝を掘る
④機械で元の穴をひろい、だし縫い
⑤フィニッシャーという機械でコバ、ヒール周りを整える
⑥着色し仕上げ
・ウェルト交換が必要な靴
さて、靴を修理しようとして1万円くらいかと思ったら、2万円を超えた経験はございませんか?
それはウェルト交換をしているからです。以下の場合、ウェルト交換が必要になります。
1.爪先が削れる等ウェルトの損傷が激しいもの
2.よりドレッシーな雰囲気を求めるため、コバが極端に狭くなっているもの
昨今の既製靴は見栄えを良くするために、コバを極端に狭めた仕上がりになっています。
しかし、修理の際に同じように縫うことはアッパーを傷つけてしまったりとリスクがあります。
また、うまくだし縫いがかかったとしても、コバをフィニッシャーで整えてるうちに糸が出てきてしまう可能性があります。
靴を選ぶ際はコバの出幅が極端に狭くないかを見ることができたら修理費用は抑えられるかもしれませんね。